マイナスのニーズ・チェックリスト

モノが売れなくなった。消費はすっかり冷え込んでしまった。では景気が回復すれば、少しは売れるようになるだろうか?

モノを供給する企業側が、以前と同じ発想で商品を開発し、同じような方法で売ろうとする限り、多くは望めないだろう。

消費者は、自分を取り戻しつつある。落ち着いて自らの購買行動を決定するようになりつつある。今、どういうものが必要で、どういうものが必要じゃないか、何を買って何を買わないかを地に足をつけた状態で考え、その結論のもとに財布のヒモを解くようになった、時代はハッキリと変わっている。

経営・営業・販売・マーケティングに!

松下電器は平成4年と5年に、課長級社員による「1干万世帯訪問」を実施したという。つい最近、友人のM君がビデオデッキを買い替えた。いろいろなメーカーの中でどこの商品を選んだかというとナショナルであった。

聞けば「操作ボタンが一番少なくて使いやすそうだし、値段も手ごろだったから」とか。これが「1千万世帯訪問」の結果である。

顧客はさまぎまな苦情を持っている。モノが足りない昔は、そんな苦情などどうでもよかった。苦情があろうがなかろうが、不足していれば需要のほうが大きく、どんどん売れた。

しかし、モノがありあまり、努力しても売れない現在では、ニーズを決定する要素の大部分を、苦情が占めるようになった。苦情とは、ニーズを阻み、かつニーズを決定する主要な要因でもある。この苦情こそ「マイナスのニーズ」と言える。

マイナスのニーズに気付く

消費者はいろいろな要因によりモノを買ったり買わなくなったりする。その要因の中で、 マイナスのものを列挙してみよう。不足・欠乏・不安・不満・不便・不快・不調・不良・ 不幸・無理・ムラ・無駄…その他、不のつく言葉、非のつく言葉、無のつく言葉は無数に ある。

これらをリストアップして、消費者の行動を決定するありとあらゆるマイナスの二 ーズを設定してみるのだ。今まで気付かなかった何かを気付くであろう。これらが、正に 売れない原因を構成する。

マイナスのニーズの引き出し方

顧客が持っているさまざまな苦情を、さまざまな手段で、手を替え品を替え、時と場所を替えて引き出すことが基本になる。

客が感情的になっているときは、後日、菓子折りでも持って、訪問がてら意見を伺いに行くとか、とにかく客とのコミュニケーションの機会をより多く持ち、何をどう感じているか、どう考えているのかを知るのである。顧客と接触する機会の多い社員も、管理職や経営者も、同様に問題意識を向けるのだ。

言葉に出る苦情の背後には、日頃から蓄積されている不満も潜んでいる。トラブル自体も、マイナスのニーズが現象化されたものと捉えるべきだ。

注意を向けることによって、日頃気付かなかったマイナスのニーズを自覚・発見するだろう。マイナスのニーズは、貴重なアドバイスに変わる。この顧客から発信されたマイナスのニーズをクリアーすることが、売れない時代の企業のサバイバルに通じるのである。

 

 

 

 

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